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白山高山植物園

白山山系は他山系から隔離された独立山系です。そのため白山には他の山岳からとび離れて分布しているいくつもの豊かな植物群があります。
白山以西に白山以上の標高を持つ山はなく、日本高山の西の果てに位置することから、ハイマツをはじめ、白山の名を冠するハクサンコザクラやハクサンチドリ、クロユリなど白山を分布の西限とする植物は100種類を超えます。
また、白山は多様な遺伝子資源を蔵するところとして国際的にも認知されています。
つまり、白山は日本を代表する“自然の宝庫”ともいえる場所なのです。
しかし、いま多くの白山の高山植物が危機に直面しています。環境省は今後100年間に、地球の平均気温が、約1.8〜4.0℃上昇するというデータを公表しました。
この現象、いわゆる<地球温暖化>がこのまま進めば、標高2702メートルの白山において、
高山帯はいずれ消滅し、高山帯をすみかとする高山植物は確実に失われることになります。
地球温暖化の原因は人間活動であることはもはや疑いようがありません。
私たちの負うべき責任は重大であり、と同時に、私たちのくらしの基盤が種と種の複雑で微妙なバランスの上に成り立っている以上、人類の生存を危うくする生態系の崩壊は食い止めねばなりません。だからこそ、いま植物種の保存の方策を考える必要があるのです。
このような考えのもと、白山高山植物研究会では、1998(H10)年より、
石川県白山市の委託を受け、石川県自然保護課、ほか関係各機関と連携し、
高山植物を主とした白山の自生植物の保護に取り組んできました。
このホームページでは、その活動の一端をご紹介いたします。

  • 試験開始前、1997年5月の西山の風景です。

このような場所に果たして高山植物は育つのだろうか?
ここに露地移植をしようと決めたメンバー自身もはじめは疑心暗鬼でした。
もう少し環境の良い場所はないのか。ここではせっかく育てたものが全滅するのではないか。そんな意見があったことも事実です。
しかし、人工的に栽培された高山植物が、低地の自然状態で、かつ過酷と思われる環境の中でどのように育つのか。 研究の応用的な活用(自然災害や人為的なによって喪失した植生の復元など)を目指すためにもどうしても行わなければならないことでした。
結果は、驚くべきことに、多くの高山植物が活着。
そして現在7600㎡の山腹に約50種類10万株の白山の高山植物が育つまでになりました。

北國新聞2008年6月22日朝刊
(画像をクリックすると拡大します)

もちろん、ここまでには数々の失敗があります。 環境が環境なので、移植しても育たない植物、思うように成長しない植物も多数あります。
しかしながら、野生植物のたくましさ、もともと過酷な地で生きる白山の高山植物の生命力の強さ、そして何よりその可憐さには心を深く動かされます。 2008年6月、はじめてこの移植先を「西山高山植物馴化試験地」として二日間の日程で一般公開いたしました。あいにくの雨、遊歩道もないぬかるんだ道にもかかわらず1000人を超える市民の皆様が訪れてくれました。 訪れた方々からは、 「白山のお花畑をこんな場所で見られるなんて」 「白山にはもう登れないから来た。またお花畑を見ることができて嬉しい」 「よくここまで育てた」 「絶滅危惧種を含め保全していることは意義深い」 「市民の財産として大切にしてほしい」 など多数の感嘆と感激の声が寄せられました。
この想像以上の反響に励まされ、公開後は試験地を段階的に拡大。新たに手づくりの遊歩道も整備し、より多くの市民の方々にご覧いただけるよう体制を整えました。 それに伴い、「西山高山植物馴化試験地」の名称を2010年には「白山高山植物園」に変更。親しみやすく、覚えやすくすることで、多くの市民の皆様にこの事業の存在を知っていただくように致しました。 今年も6月初旬から7月初旬にかけて、日程は限定的ですが一般公開を行います。
将来的にはフルオープンすることが望ましいのですが、今はまだ研究の途上であり、その段階には至っていません。 ですが、また今シーズンも多くの方々が 「今年も来たよ!」 と元気に登山道を上がってきてくださることを心からお待ち申し上げております。 そして、白山の高山植物を守ることが、私たちの暮らしの基盤を守ることであるとあるという認識のもと、今度は市民の皆様と一緒にこの白山高山植物園を育てていけたなら、これ以上の喜びはありません。

NPO法人 白山高山植物研究会
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